今日は涼しいですね〜
夏も終わりに近づいているということで、夏のうちに夏の出来事は消化しておきます。
時は7/22・・・て、もう一ヶ月以上前の出来事なんですけどね。
さて、期せずして「あの」超有名メーカーの車に乗るチャンスを得た我々は、一日しか休みがないという状況にも関わらず、強行軍で遠出することにした。
そう、一日有効に車を乗り回すために。
時刻は午前2時。まだ、草木も眠る丑三つ時だ。
そんな中、割とハイテンションな我々は行動を開始する。現地には明け方に着いておきたい。
・・・と書き出したものの、今回は旅の詳細ではなく、車の詳細で終始する予定である。
とにかく、べらぼうに早い時間にスタートしたわけだ。
このエンブレム。
もうおわかりだろう。我々が今回駆るこのクルマは、ドイツはメルセデス・ベンツのスポーツカーだ。
首都圏ではよく見かけるクルマだが、決して一庶民が気軽に乗れる車ではない。
そんなことは、この車を知る人ならば言わなくてもわかるだろう。
(都会の人間はみんな良いクルマ乗りすぎなのである。アレが日本標準ではない)
メルセデス・ベンツ「SLK200」。
質実剛健を地でいく由緒正しき欧州のプレミアム・スタンダードが出した2シーターの本格的なスポーツカーである。
1845mmのワイドボディに大きいドアが二つのみ。もちろんシートも2席のみ。
こんな車に乗るのは初めてなので、ワクワクがとまらない☆(ゝω・)vキャピ
心臓部は、1.8リッター直列4気筒のターボエンジン。184馬力に270Nmという、なかなかにトルクフルなエンジンを積んでいる。
とはいえボンネット内はまだ隙間が目立つ。
それもそのはず、SLKは同じボディで3タイプのエンジンがあり、これは最も小さいエンジンだから、だ。
最上級のSLK55 AMGともなると、ここに5.5リッターV8のモンスターエンジンが積まれるのだ。そりゃ隙間だらけなワケである。
内装はシンプルかつ上品。さすがはプレミアムクラスのクルマだ。
サイドサポートのしっかりした固めのレザーシートに、いかにもスポーツカーな絶壁コンパネ。そこは綺麗にシボの入った樹脂パーツが並ぶ。ちなみに、この部分もレザーになると、それは真の高級車ということになる。
視認性のよい、ベンツらしいシルバー基調のメーター周り。
インダッシュのナビは最近のものらしい、ジョグダイヤル方式。タッチパネルに慣れていると若干とまどう。
2シーターのスポーツカーということで、ゆったりとしたシート周り、そして着座姿勢がかなり低い。シートの高さを上げないと、ボンネットは何も見えない。ルーテシアでも感じたが、日本車に比べてボンネットあたりの視認性は悪いようだ。加えてSLKはノーズが長いので、狭い道や人が行き交う場所は肝を冷やす。まあ、慣れなのだろうが・・・
このクルマの最大の特徴は、バリオルーフというハードトップのオープンカーだということだ。
この日は終始晴れていて、絶好のオープンカー日和。初めて体験したが、これは素晴らしいの一言。サイドウインドウを下げると風の巻き込みがあるので速度はせいぜい60km/hほどが快適な感じだが、この開放感はヤバイ。サイドウインドウを上げれば、80km/hくらいまではいけそうである。だが、やっぱりフロントガラス以外はフルオープンで走るのが、断然気持ちいい。
弊害としては、写真で見るとわかりやすいが・・・オープン状態ではハードトップが畳んでしまわれるため、トランクの容量が一気に減るということ。それでも、小旅行の荷物くらいは入る。まぁもともと二人しか乗れないし。
このクルマで、山道や田舎道にいくと・・・このように、道幅ギリギリの箇所がよく現れる。
そもそもクルマを足として見るため軽自動車が断然普及している田舎では、重厚で威圧感のあるワイドボディのオープンカーは、注目必至である。どこに行っても見られまくる。・・・まあ、自分のじゃないんだけどね。
そして、一番地味な色であるシルバーにも関わらず、このクルマの格好良さはハンパではない。降りるたびに見とれてしまうほどだ。さすがベンツ、スタイリングとしては完成されている。これなら所有欲も十分に満たされるだろう。
シートから、重くて長いドアを(当てないように)注意深く押し開け、低いシートから幅のあるサイドシルを乗り越えてよっこらせ、と外に出るのは一苦労といった感じだが、それもスポーツカーの醍醐味と言ったところだろうか。年取って足腰が弱くなったらまず乗り降りができなくなるタイプのクルマだ。
スポーツカーとはいうが、そこは質実剛健なベンツ。
乗り心地は高級車のそれであり、足も硬くない。オープンで開放感に浸ったあとにひとたびバリオルーフを閉じれば、クーペかと思えるほどの密閉性、遮音性があり、高速道路でスピードを出してもまったくぶれない安定性も健在だ。
このハードトップのせいで車重はそれなりにある(1.5t弱)が、エンジンも非力とは縁遠いリニアなレスポンスである。組み合わされる7速GトロニックというATも優秀で、マニュアルモードにパドルスイッチもついているが、これを使わずとも十分楽しめる。E(エコ)モードではスムーズで回転数を上げない静かなドライブが、S(スポーツ)モードでは回転数を積極的に上げるスポーティなドライブが可能だ。
エコモードが名前だけの完全に使えないゴミモードだったルノーとのデキの違いを感じてしまう。
ハンドリングも、ルノーほどではないが(車格の差もあるし・・・)クイックであり、ワインディングの多い山道も楽しめる。そもそもFR駆動なので走りも安定していて、どんな場面でも挙動が心配になることは皆無であった。太め(245)のリアタイヤが存在感を高めてくれるのもFR車の良いところである。もっとも、FR故に雪が降ったら車庫の中になるだろうが・・・
燃費は、山間部ではSモードで積極的に走り、行き帰りの高速はEモードでなおかつクルーズコントロールを使って大人しく走って、11km/Lちょっとだった。山道を多く走ったことを加味すれば全然イケる数字であろう。
こういった「まず所有することができないクルマ」を乗るのは非常に楽しい。
SLKは500万円〜というベンツの中では比較的リーズナブルな部類だが、2シーターオープンカーはあくまでセカンドカーという位置づけだろうから、お金持ちの車なのである。
そんな「遊び」用のクルマだが、きちんとベンツのコンセプトが生きている、実に優秀なヤツだった。裏を返せば、スポーツカーとしてはつまらないかもしれない。少なくともライトウエイトではないし、クセもないし、すごくパワフルでもない。でも、誰でも運転できる「普通さ」がきっと良いのだと思う。だから、スポーツタイプなのに何も削っていないのだ。内装も、コンパネも、ナビもオーディオも、すべて普通のベンツクオリティで、だけども2シーターでオープン。これが、SLKの良さなのだと今は思う。
長くなってしまったが、一日乗り回してみて、「これはカネがあったら買う車だ」と納得させられてしまったのだ。
・・・だけど、都会の渋滞+人混みのなかで乗る車ではないよ、これは絶対だ。
こいつは、広めの田舎道で走らせよう。