今まさに、「ちょうどいい」物語を味わった。
σ(^^)はちょこっと暇していた。いや、かなり暇していた。
そこで、ちょうどいい娯楽作品を探していた。できれば、普段絶対見ないアニメなんかいいかもしれない。
飲み会で、隠れオタな職場の人に何の気なしにオススメを聞くと、「まどマギ」を勧めてきた。
知らないわけではない。一時期なんだか知らないが話題になったらしいし、ニコ動でもネタになっていたりしたから一応何となく知っていた。
だが、もちろん観たことはないし、とくに今まで気にしていなかった。
まあ、オススメされるなら・・・
軽い気持ちでアマゾンを覗くと、海外版のDVDが安い。国内のBOXは素人には高すぎて手が出ない。全12話。なんとちょうどいい長さだ。昔ぶっ通しで観た「エヴァ」なんかは26話もあって中だるみしたし、時間もかかる。
劇場版が、エヴァのように総集編のようなカタチで前編後編で出ていたが、どうせ観るならTV版12話がイイ、とのレビューが多く、注文してしまった。
(↑このパッケージイラストから内容が想像できる人はいないでしょう)
モノを増やしたくないσ(^^)がDVDを買う、さらにアニメはまさに人生初だ。
届いてみると普通のDVDケースに3枚組で入っていて、場所を取らないのでホッとした。下手にBOXにされると本当に邪魔になるので・・・
そして、曲がりなりにもアニメとして相当な評価を得ている本作を観るのに、じっくりと時間の取れる休み(今日です)を選んだ。予定もなく、時間も早すぎず遅すぎない時間帯。4時間以上あるので午後3時半くらいから鑑賞開始。
言っておくが、σ(^^)はわりと感激や感動しやすいタイプであるが、近年のアニメはホントに慣れないジャンルなので観るのが億劫なタイプでもある。現に今まさに大ヒットしているアニメの1話を試しに観ただけで放棄したし、他の大ヒットアニメは5分でやめたくらい、萌えジャンルが確立されてからのノリというか雰囲気というか、得意ではないのである。気持ち的に中だるみもしやすい。
(前にエヴァを全話鑑賞した際は、正直途中の数話はどうでもいいと思うくらいくらい中だるみした)
こんなσ(^^)だが、まどマギは「12話一気に、気持ちが途切れずに鑑賞できた」という素晴らしいアニメ作品だ。
ちょうど長い映画を一本観るようなカンジで、12話という長さがちょうどいい。題名通り登場人物は少女ばかりだが、変にキャラが萌えに媚びるでもなく、数が多すぎるわけでもなくちょうどいい。題名から想像できないダークなストーリーだが、行き過ぎた鬱展開などはなくちょうどいい。この手のアニメで良くある途中から急に壮大な規模になる展開も、話数の関係でほどよくコンパクトでうんざりしない、ちょうどいい。
そう、実に
ちょうどいいアニメなのである。
魔法少女や戦う少女モノは昔からあったようだが、どれも1話完結が主体で、最初と最後だけ核心のようなイメージである。現に20年くらい前に社会現象にまでなったセーラームーンなどは基本1話完結でありノリも軽く、ラストだけはシリアスなストーリーになっていた。プリキュアになるとまったくわからないのでコメントしようがないが、おそらく同じような展開なのではないだろうか。まどマギはハナから12話で終わらせようと思ったであろう、1話1話に無駄がないシリアス展開で飽きずに観られる。
(故にアソビ的な位置づけの話はほとんど無い)
また、これまでの魔法少女や戦う少女モノは、女児向けと言うことが足かせになっていろいろと表現しづらいものも多々あったのではないかと思うが、こちらはその制約もなく、ストレートにネガティブを表現している。基本的なルールはこれまでの女児向け魔法少女モノと変わらない(魔法少女であることは秘密、魔法に関することは他の人には見えない、その他魔法少女モノ法則に習ったいくつかのもの、など)が、その礎にある本質のテーマが実に強力なので、結果として同じ魔法少女モノながら、まったく違う世界になっている。そのテーマはズバリ「魔法少女」なのであるが、おそらく見たことがない人が単語で想像する「それ」を完全に否定する内容である。そしてネタバレに繋がる要素を一切排除した構成が、徐々に視聴者を物語の世界へ引きずり込む。
一方で、これまでの魔法少女モノのように「魔法少女として戦わなければならない少女の苦悩」や、どこかいままでのモノに通じる「とにかく心優しいけど、どこかヘタレていて落ち込みやすい主人公」など、なんとなく既視感もある。だが、これらなくして物語はないのだから、当たり前の要素として受け止められるであろう。そして、その人間模様こそがこの物語の中核である。
・・・相変わらず観たままの勢いで書いているし、ネタバレなしで書いているので何が言いたいかわかりにくいが、長さといい内容といいこのアニメを否定する要素が見つからない。他のアニメに詳しい諸氏に言わせればいろいろと言いたいことは出てくるのだろうが、ニワカが観ても十分に楽しめて、感動もできたのですばらしい作品としか言いようがない。
特にラスト手前の、あるキャラに関するエピソードは思わずうるっと来てしまった。クライマックスはここだろうと勝手に思っている。逆にうまくまとめようと思ったであろうラストは、ややこじつけっぽい展開になってしまったが、まあここは仕方のないところだろう。
それらの要素は近年のアニメではよくある話だと言われればそうなのかもしれないが(疎いσ(^^)にもなんとなく予想がつくくらい)、逆に言えばその辺は王道展開でもある。だが、王道展開はあくまで一部のみ。一切の油断を許さない次から次へと息つく暇無く進むストーリーに、退屈だなんて言っている余裕はない。息をのみながら次の話を視聴するハメになる。
一つだけ残念なのは、σ(^^)がこの作品に対する知識がゼロではなかったことだ。ある程度(ごくわずかだが)ネタバレを知ってから観たから、そこのトコロはこの作品に関しては特に、何も知らない状態で観るべきだった、と残念に思う。話数が進むにつれて徐々に明かされる真実・・・これがこのアニメのキモなのだから。
まとめるならば・・・先入観も、予備知識もない方がイイ、そしてアニメを観たことすらなくても楽しめるジャパニーズ・アニメーションの「傑作」ではないだろうか。
可愛らしい絵柄だけ見て「萌えは無理」とパスするのは、もったいなさすぎる。