先日、秋葉に「野暮用」があって行ったと書いたが、実は買い物をしに行ったのだ。
そして、それは一眼カメラ歴約2年にして、とても決断力のいる、初の買い物だった。
その名は「レンズ」
これが、買ったレンズだ。とても小さい。
とても小さいのだが、単体で買うと高性能コンパクトデジカメと同じくらいする。
「ただの単焦点レンズ(それだけでは何も出来ない)」と、「最新コンデジ(動画撮影からマクロ、望遠写真まですべてがこなせてしかも小さい)」が同じ値段。
でも、一眼の並み居る替えレンズ群の中では、最も廉価な部類。
一眼世界が敷居高しと思われる一因が、このレンズの値段なのである。
(お手軽と言われるマイクロフォーサーズでも、高性能レンズだと10万円近い値段である・・・カメラ本体よりも倍以上高い)
このコンパクトレンズは、我が一眼「G1」が類する「マイクロフォーサーズ」という規格では優秀で楽しい、わりに安いと評判の高いレンズだ。マイクロフォーサーズは名前の通り小さいボディが特徴の超お手軽一眼なので、小さいレンズは相性がいいようで、必携ともいわれる「買い」レンズなのである(だから買った)。
ちなみに薄く平べったいレンズなのでこの類を「パンケーキレンズ」と称する。
さて、付け替えてみよう。
左が、今までコレ一つで撮影してきた標準のキットレンズ、3倍ズーム搭載の「LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.」だ。名前が長いのはレンズの宿命。
右が、今回買った単焦点パンケーキレンズ「LUMIX G 20mm/F1.7 ASPH.」である。
明らかに体積が減って、持ち運びしやすくなったのがわかるだろう。
コンパクトデジカメのリコーCX4が手に入って以来、一眼であるG1はでかいし重いので持ち運びしなくなってしまっていた。G1でまかなえる画角や明るさも、すべてCX4がカバーしていたので余計に。コンデジ一台でまったく十分だと思えたのである。
しかし、画質や撮る楽しさではG1が上。このジレンマを解消するには「なるべく持ちやすくした上でG1だけの特色を持たせる」ことだった。
▲専用インナーフードをつければ、レンズ保護も安心、ちょっと格好も良くなって二十満足。
そこでこのレンズである。
単焦点レンズなので
ズームが一切出来ないという最大の弱点があるが、それがあってこそ、このパンケーキのようなサイズを実現できたのだ。
(むしろCX4レベルのサイズで光学10倍ズームを平気で搭載できるコンデジの技術が異常に凄いだけだ)
このレンズの最大の武器は「明るさ」である。標準キットレンズやCX4にはない明るさがウリである。
▲左:パンケーキレンズ 右:標準キットレンズ
レンズ径の違いがわかるだろうか。パンケーキの方が径が広く、より多くの光を取り入れることが可能なのだ。
光が多くはいる=F値が小さいということは、二つの利点がある。
・より多くの背景ボケを生かした写真が撮れる(F値は小さいほどよくボケる)
・明るい写真が撮れるので、多少暗い室内などでもシャッタースピードが落ちない
かいつまんでいえば、ポートレートのような作風向けのレンズなのだ。
ここでちょっとF値とボケ(とシャッタースピード)の違いについて説明しよう。
下の二枚の写真を見ていただきたい。
▲F値 7.1 (シャッタースピード 1/200)
▲F値 1.7 (シャッタースピード 1/4000)
歴然としたボケ具合の違い(とシャッタースピードの違い)がわかるだろう。
F値が低いということはレンズが明るいと共に被写体深度が浅いということだ。
つまり「ピントが合う範囲が狭くなる」ことで、ピント部分以外をぼかすことができるのである。
マイクロフォーサーズは規格上の制限で、他の一眼規格よりもボケが得にくいため、手っ取り早くそれが得られるこのレンズは重宝する代物なのだ。一眼の写真は綺麗なボケ具合が基本だからね。
(ちなみにコンデジはマイクロフォーサーズよりももっとボケにくい)
この辺はちょっと踏み込むと光学専門的な話になるのでやめておく。
▲被写体深度の浅さを表す写真。中央手前の一部分しかピントが合っていない。
とにかく、明るくボケる、んでコンパクト。
新しいコンデジが買えるほどの対価を払ったが、このレンズのおかげでG1はまだまだ現役で頑張れるのだ。コンパクトにもなったし、ガンガン持ち歩こうと思う。
(最初はステップアップして、もっとハイグレードな一眼を買おうとしていたが、せっかくのG1をもっと使い倒したかったので計画を変更した)
ちょうど、春の日差しが降り注ぐ庭は、花々が美を競っている最中だった。
くっきり撮影して全体像でもいいのだが、あえてぼかしこむ写真も趣があるのではないだろうか。