■四十九日広島〜愛媛紀行(後編:巨大吊り橋と柑橘の国)
またも日付訂正。リアルタイムで書いてない日誌だから、日をまたぐ長文だとどうも感覚がヘンになってくる。そろそろまとめ書きもツカレタので、モバイルでも買ってリアルタイム日誌にチャレンジしたいものである。
さて、一行は素早く行動開始。世界初の三連吊り橋である巨大橋「来島海峡大橋」をチャリで満喫するために、橋袂にあるサイクリングセンターに向かった。
▲途中に立ち寄った展望台からはご覧の大パノラマが見られる。パノラマ写真がないのが残念だ橋は地上かなりの高さから始まっているため、相当なアップダウンは避けられない。しかも今回は結構な長い行程を考えているらしいので、ここは賢く「電動補助自転車」をチャーター。コイツは軽井沢で体験済みだが、その時初めて電動補助の恐るべきパワーを思い知ったのだ。
来島海峡大橋は吊り橋で、しかも道路オンリーの橋なので橋桁が非常に薄い。電車橋でもある瀬戸大橋や、歩道のある横浜ベイブリッジなどとは違った、やや頼りないイメージだ。
▲なんと、自転車・歩行者用ロードにも途中に料金所がある。初経験だだが、実際に橋の上をチャリで走ってみるとそんな感じがまったくしない。なんというか、橋のスケール自体が巨大堅牢すぎて「海の上、空中のアスファルト一枚部分を走っている」という感覚がゼロなのだ。ここまででかいと吊り橋特有の揺れなんか無関係に思えてくる。
ただ、途中で目元高さまで落ち込んでくる、橋を支えるワイヤー(と呼べるモノなのか…でかすぎて)が何とも言えない迫力を醸し出している。この辺りは吊り橋ならではの光景といったところか。そのほかは高架を走る普通の高速道路に自転車道路が併設されたそのものといった雰囲気。
▲途中にこのようなブレーカーボックスがある。海に張り出したその姿は見ているだけでコワイだが、途中でこのような部分、すなわち「海との直接的な位置関係を確認できるスポット」に遭遇すると、そりゃもう、
高所恐怖症ブラザーズのσ(^^)とBrobonはガクブルしたものである。このほかにも橋台ごとに、すき間から直下を望めるゾーンがあり、何度足がすくんだことか…
しかしチャリでこのような場所を走ることができるなんて考えてもいなかったので、正直楽しかった。橋自体がたわんでいるために坂道になっているが、そこは電動チャリ、なんの心配も無しにグイグイと運んでくれる。ただし、電動チャリの快適な足を持ってしても全長4kmあまりの橋は長かった。
吊り橋と呼ぶにはあまりにもスケールが大きいため、本当に吊ってるのかよと思いたくなるが、三連橋が終わった後に現れる、橋を吊るワイヤー基盤を見ていただければ「確かにコレが吊り橋である」ということが分かるだろう。
▲吊り橋ワイヤーを支える基盤。今まで見たなかでダントツの大きさだご覧の感じ。正直、基盤部分だけで結構なビルディングが建つくらいあるのだ。最初見たときは本当にびっくりした。このコンクリの固まりはただの錘に過ぎないのだと考えると、それはそれでコワイ気がした。写真がショボイので申し訳ないが、例えるなら中規模のダム提体くらいの大きさがある。巨大建造物好きとしては、ちょっと登ってみたい気もするが…
そして来島海峡大橋を渡ったその先には大島という比較的大きい島がある。ここを周遊するのが第二の目的。
▲大島の海産物はどれも新鮮。水槽で生きている魚介類をその場で食べられる!ここで、チャリを置きひと休憩。生きた魚介類がうごめく水槽を前にしていろいろと物色。瀬戸内の海の幸はどれも色鮮やかだ。特にホタテなどはレインボー色に輝いている。瀬戸内特有の小さなタコ(ただし美味!)もかわいい。
そして我々はちょっと網焼きを楽しむことにした。1個150円でまるまると身の詰まった牡蠣とハマグリをチョイス。
▲まさに採れたてを網焼きにしていただく。島ならではの贅沢なおつまみである炭火の上で香ばしいニオイをさせている海の幸。焼きながら待つのもまた贅沢なひとときだ。やっぱ産地に限るね。味付けなんかは一切いらない。潮水がそのまま程良い味付けになっているのだから。
んで、貝が口を開けたらひっくり返してまた少し待つ…そして、
焼きたての熱々をいただくのだが…まぁ、この辺はご想像に任せよう。とにかく東京などでは滅多に味わえない贅沢食いだ。
海の幸を満喫したら、大島の周遊に出かけよう。
この島は穏やかな海に囲まれた典型的な瀬戸内海の島そのもので、湘南の海を標準と思っている人間にはなかなか新鮮な感じだ。なにしろ、まず海がキレイ。砂浜の波打ち際などはまさに沖縄の海を彷彿とさせる
エメラルドグリーンの海なのだ。さすが瀬戸内。
▲こぢんまりした観光施設で食した地元料理。これがまた美味だったチャリでのんびり移動していても、特に変わったものはない。ひたすら続く海岸線と、瀬戸内特有の昔ながらの港町の風景が広がっているのみだ。人も車もほとんど見かけない。
それでもチャリをこぎ続けると、なにやら観光地っぽい一帯があった。ちょうど昼時だったので、
人気の全くないこの観光施設で昼飯とする。
人気こそないものの、ここはアタリだった。何気ないレストランで出された素朴な地元料理が美味かった…生ひじきご飯に瀬戸内タコの唐揚げといった本当に素朴なメニューなのだが、こういうのが妙に嬉しい。これぞ、旅である。
島には、そのほかにはやはり産地であるから柑橘農園が広がっている。農園というよりは自然植生に近い感じで、たわわに実った柑橘をいくつもぶら下げた木々がやたらと目に付いた。
そして、無数の島々からなる瀬戸内のもう一つの特徴がコレだろう。
▲島の先端部には小さい灯台が無数に見えた。こんな光景もまず関東では見られないとにかく、向こうに見える島にも、この島にも、灯台だらけなのだ。まぁ海の構造的に当たり前なのだろうが、ちっこい灯台がいくつもある光景は非常に興味深かった。人気のない場所にある人工建造物マニアのσ(^^)としてはすべてチェックしたかったが、時間の関係上そうもいかないのが悲しいところだ。この分なら、廃道や廃隧道などマニア垂涎の物件も多数隠れていそうだが…残念。
十二分に島を満喫したところで、午後もいい時間になってきた。本日は東京まで帰らなければならないため、ここで橋を渡り返して戻ることになった。電動の力を借りっぱなしだったが、コレがなかったら島の周遊を楽しめたかどうか…とにかくレンタサイクルは電動に限る!という結論が生まれた。
いよいよ四国ともお別れである。
車に乗り込み、しまなみ海道を本州へ向かって走る。快晴となった今日は、景色もよく見えて素晴らしかった。
ただ、疲労で居眠りしまくってしまったが…勿体ない事をした。
▲途中のサービスエリアにて。まさに柑橘の地元直売所がそこにあった途中に立ち寄ったサービスエリアは、地元産柑橘の直売所。事前に調べた様々な柑橘が実際に売られていて多少の興奮を覚えた。と共に、産地価格で激安だったため、伊予柑、ポンカン、清美ダンゴールを3ネットも購入してしまった。
食べ比べてみて分かったが、まったく違うその性質に驚かされる。実際、清美ダンゴールとポンカンを掛け合わせて生まれたのが王者「デコポン」であるが、なるほど、両者共にデコポンの性質の元になる部分が発見できた。しかしやはり…贈り物レベルの商品と比べると、味も品質も素朴そのものであった。まぁ、これはしょうがない。
最後に立ち寄ったのが前回と同じ「尾道」。
今回はまだ時間が多少早いので、景色をより堪能できた。展望台からの風景は前回とまったく同じ、そっくりそのままなので今回は割愛するが、相変わらずの良い景色がそこに広がっていた。時間も早いせいか、観光客もわりといるようで、展望台はにわかに活気づいていた。
▲今回はロープウェーで展望台まで。この風景こそ「西の日光」といわれる尾道そのものだそう、今回は敢えてロープウェーで展望台まで登ったのだが、その際に前回は見られなかった尾道の街情景を見ることができた。坂道にびっしりと張り付いた軒、その合間合間に見える寺や歴史的建造物。実に珍しい光景だ。
ロープウェー乗り場の隣、完全にひっついて建っている大きな寺や、ロープウェー眼下にある重要文化財の三重塔など、ゆっくり回る気になればいくらでも見所はありそうな街だが、今回は時間がおしている。展望台をさらっと見ただけで引き返すことになった。
ここで忘れてはイケナイのが、前回食べ損なった「尾道ラーメン」だ。
尾道といえば風景や街の雰囲気と共に、このラーメンが実に有名。行列のできる店(ここが尾道最大の人気店「朱華園」であった…ただし、この店は尾道ラーメンからは外れたラーメンらしいので、やめて正解だったかも知れない)は時間の都合上とばして、空いていた「元祖尾道ラーメン」とうたった店で食べることにした。
▲元祖尾道ラーメン。魚ダシに背脂が浮く独特の醤油スープ。麺は中くらいの太さである家系、九州系と豚骨スープばかり食べているσ(^^)だが、魚ダシも嫌いではない。ただし、ここのラーメンは透き通った魚ダシのスープではなく、濃いめの醤油味だ。豚の背脂も浮かせていて、なんだか変わったイメージのラーメンだと思った。
味は悪くないがインパクトに欠ける印象がある。正直、ここで食べたラーメンの味は、もはや正確に思い出せない。今や魚ダシ専門ラーメン、豚骨専門ラーメンなどいくらでもある世の中だ。その二つを掛け合わせた感じの尾道ラーメンは、バランスはいいのだが個性がない雰囲気。でも、その歴史を考えると改めて味わい深いラーメンである。
ここでラーメンに舌鼓を打った後、いよいよ帰路に就く我々だった。
その後、暮れゆく町並みを眺めつつ車に揺られていると、旅の終わりの寂しさが少しずつこみ上げてくる。今回は瀬戸内ならではのものをかなり体験できた、非常に満足のいく旅だったからなおさらであった。その証拠に、一泊二日にもかかわらずDVテープ80分をほぼ撮りきってしまったのだ。
その後Brobon一家を福山でおろし、我々もそのまま空港へ向かった。旅の余韻もさめやらぬウチに飛行機は我々を東京に導く。飛行機ってつくづく凄い乗り物だと思う…
気がつくといつもの風景の中に自分がいた。また法事の度に何度か訪れることになるであろう、広島、瀬戸内。そんな頻度だから、見所はしばらく尽きそうにはない。(2/22記)